SL小説「Kの告白」005:順風満帆

それまでの私は帆を下げたままのヨットのように、ただただ波に流されていた。
そしてそれを結構楽しんでいて、それで満足していた。

ダンスホールでイベントをやろう!という意志は、私にヨットの帆を上げさせ、仲間が仲間を呼び、強い風となり港へと向かってヨットは加速した。

この時期は前世のワールドで一番楽しかった時期だ。
個々が望む未来を思い描けるということは幸せなことだった。

確固とした未来があったわけではないが、みんながそれぞれに希望をもって、ひとつの目標に向かって団結していた。

イベントの終わりにはミーティングを行い、より良いイベントにするための話し合いが行われた。

その成果もあり、イベント参加者の数も増えていった。
まさに順風満帆。

掲げた帆に強い一定の風が吹き、ヨットは港へと走り出した。
目的地の港町はまばゆく輝いていた。

つづく

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