それまでの私は帆を下げたままのヨットのように、ただただ波に流されていた。
そしてそれを結構楽しんでいて、それで満足していた。
ダンスホールでイベントをやろう!という意志は、私にヨットの帆を上げさせ、仲間が仲間を呼び、強い風となり港へと向かってヨットは加速した。
この時期は前世のワールドで一番楽しかった時期だ。
個々が望む未来を思い描けるということは幸せなことだった。
確固とした未来があったわけではないが、みんながそれぞれに希望をもって、ひとつの目標に向かって団結していた。
イベントの終わりにはミーティングを行い、より良いイベントにするための話し合いが行われた。
その成果もあり、イベント参加者の数も増えていった。
まさに順風満帆。
掲げた帆に強い一定の風が吹き、ヨットは港へと走り出した。
目的地の港町はまばゆく輝いていた。
つづく