SL小説「Kの告白」007:相思相愛の罠

私は物事を論理的に考える方だ。
なので相思相愛なのに別れる意味が分からなかった。
お互いが好きなのに何故別れることがあるんだろうと。

しかし実は相思相愛の中にこそ罠が潜んでいた。
何か物事を共同で成し遂げようとする時、往々にして男女は深い仲になる。
私も例外ではなかった。

お互いに相手のことを想う相思相愛の仲だった。
でもだからこそ、私は罠にハマった。

お互いに好き合っているんだから、自分のこの気持ちもわかってくれているに違いないという希望的観測の罠である。

根拠のない希望的観測は、何時しか、相思相愛を深いところで変えていく。
そして突然に別れはやって来る。

その時に初めて、自分は相思相愛の罠にハマったと気づく。
あの時ああしていればよかったと思った時には、すでに遅い。

あんなにお互いに好きだったのに、気がつけば他人の関係になっている。
後悔と罪悪感が私を蝕んでいく……

つづく

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